2022年08月07日の投稿[1件]
Q:
今とても悩んでいるので、相談させてください。
淡水ミドリフグを60センチ水槽の上部フィルターで1匹、2年6ヶ月飼育しております。2ヶ月前に1匹拒食から☆になってしまいました。残った子も最近元気がなく、食欲もあまりありません。肌質もツヤがなくなって、ヒレもかけてきました。淡水のままの飼育に不安を感じております。やはり汽水飼育をするべきなのか、このまま淡水のままでいいのかとても悩んでおります。もし汽水飼育する場合は、今の淡水を汽水に移行するのでしょうか?その場合ろ過やバクテリアはどうなるのでしょうか?pHは8.0、硝酸塩、亜硝酸塩は0.0です。
A:
淡水ミドリフグ、純淡水ミドリフグという名称で淡水で終生飼育可能というミドリフグの噂は聞いたことがありますが、実際には私の知る限り、そのようなミドリフグの存在は確認出来ておりません。ボルネオのコタキナバルに純淡水種がいるという噂を聞いたこともありますが、おそらく海や汽水から移動してきた幼魚ではないかと推測しています。またベトナムのバーベー湖に淡水産のミドリフグがいるという話もあったので、現地の観光所に問い合わせてみましたところ、バーベー湖にはフグはいないとのお返事を頂きました。
では、淡水域にミドリフグはいないのかといいますと、おります。ただそれは、海や汽水域から潮が満ちた時に餌を食べにきたり、大きな魚に捕食されないよう上ってきたもののようです。淡水域でも元気に泳ぎ、餌もバクバク食べているところを見たこともありますし、釣ったこともあります。しかし、潮が引き始めるとみな海のほうへ帰っていきました。
淡水への順応能力は他の海水のフグと比べて非常に高いため、数か月から1年ぐらいの間は大丈夫かも知れませんがそれ以上の長期飼育に於いては、塩分がないと突然死や成長不足、病気になりやすい傾向のようです。
ところで、中国にはメフグという海水フグがいますが、産卵のために川や湖に一時的に遡上します。中には産卵を終えても湖に残り、次の年の産卵まで滞在する個体も確認されていますので、淡水に順応出来る種であれば年単位の淡水飼育も可能ではありますが、それは正しい管理方法ではなくフグに負担をかけながらの飼育であることを理解していただければと思います。
水槽の環境を淡水から汽水へと移行する方法ですが、バクテリアは汽水になっても大丈夫な種もいますから、塩分濃度を徐々に濃くして汽水のバクテリアを定着させていきます。
まずは薄い1/8海水(10㍑の水に約45gの人工海水の素)で水換えを始め、何回か繰り返すと水槽の水が水換えに用いた水と同じ塩分濃度になっていきます。
そうしましたら、今度は1/4海水(10㍑の水に約90gの人工海水の素)で水換えを行います。あとはこの水換えを繰り返すことにより、ミドリフグの飼育に丁度良い塩分濃度になります。
ミドリフグが大きくなれば海水と同じぐらいの塩分を求めるようになりますので、いずれは海水と同じ塩分濃度で管理をすると良いでしょう。
餌については、淡水魚用の餌を与えず海水魚用の人工飼料(おとひめS2でも可能)や、海で採れる甲殻類やタコ、イカ、魚の切り身を与えると良いでしょう。